冬の室内を床下からあたためる「床下エアコン」とは?

エアコンやヒーターが効いた室内はあたたかく快適なのに、床部分に触れた足元がヒヤッと冷たい…そんな経験はないでしょうか。あたたかい空気は上のほうに流れるため、室内を暖房しても、足元まであたたかくするにはどうしても時間がかかってしまいます。
冬でも足元まであたたかい家に住みたい!と思ったら、新居の暖房は「床下エアコン」を検討するとよいかも知れません。
床下エアコンとは
床下エアコンとは、床下に設置したエアコンで床下全体をあたため、各部屋へと暖気を行きわたらせる暖房システムです。
床下から暖気が届くので足元がポカポカとあたたかく、通常の壁に設置したエアコンのように直接風が体に当たることもありません。
もともと床下エアコンは寒冷地で普及してきたシステムですが、近年は住宅の高気密化・高断熱化によって、首都圏などでも床下エアコンを採用する住宅が増えてきました。
床下エアコンのメリットは?
1階の各部屋と廊下があたたかい
床下エアコンの最大のメリットは、暖房する範囲が広いことです。
床をあたためる暖房といえば「床暖房」が一般的ですが、床暖房の場合、床暖房を設置したリビングはあたたかいのに、未設置の洗面所や廊下は寒いまま…という声も。
その点、床下エアコンは床下を通して暖房するため1階の床全体があたたかく、快適に過ごしやすいでしょう。
初期費用が安く、修理もラク
市販のエアコン(壁掛けタイプ)が1台あればよいので、床暖房より導入コストが安いのが特徴です。さらに、たとえ壊れても修理・交換がしやすいメリットもあります。
室内の見た目がスッキリ
リビングなどの壁にエアコンを設置すると、エアコンの見た目がインテリアの邪魔になってしまうことがありますが、床下エアコンの場合は家族や来客の目に触れない床下に設置するため、部屋の印象がスッキリとします。
床下エアコン導入時の注意点
このように魅力的な床下エアコンですが、以下の点に注意する必要があります。
基礎断熱工法が必須
床下エアコンを設置するなら、一般的な床下断熱ではなく、基礎コンクリートから断熱材を施工する基礎断熱の工法で家を建てることになります。基礎断熱工法を採用していないハウスメーカーや工務店に家づくりを依頼する場合、床下エアコンを設置できないので注意しましょう。
冷房効果は低め
床下エアコンは寒冷地を想定した暖房システムであるため、夏の冷房として使用しても涼しい空気が床まわりにたまるだけで、冷房効果はあまり期待できません。
冷房も重視するなら、床下エアコンとは別に、家の高い位置にもエアコンを設置して季節ごとに使い分けるとよいでしょう。
メーカー保証が受けられない
床下エアコンは市販のエアコン(壁掛けタイプ)を使用しますが、エアコンメーカーが本来想定している使用方法ではないため、基本的にメーカー保証の対象外となります。
冷暖房の空調設備は、快適な住み心地に関わる大切なポイントです。新居のある環境立地や気候、ご家族のライフスタイルなどによって設備の選び方も変わってくるので、ハウスメーカーや工務店の担当者とよく話し合って、よりよい設備を選びましょう。