新時代の「豊かな生活空間」づくり――「2019年版国土交通省白書」発表

私たちの日々の安全や快適性など、暮らしの質にかかわる「生活空間」。
国土交通省が7月2日に発表した「2019年版国土交通白書」では、これまでの技術の進化や日本人の感性(美意識)などを踏まえながら、新しい時代の「豊かな生活空間」に向けた施策の指針が示されています。
将来住んでみたい住宅は?
「2019年版国土交通省白書」では、住宅など生活環境についての国民意識調査の結果も紹介されました。
調査によると、将来住んでみたい住宅について質問した項目で、「自分の好みで変えられる」「伝統・自然と快適さ」に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」と肯定的な回答が7割以上、「AI/IoTで快適」に肯定的な回答が6割以上となりました。
未来の住宅に望むこと
とてもそう思う | ややそう思う | あまりそう思わない | 全くそう思わない | |
---|---|---|---|---|
自分の好みで変えられる | 21.6% | 54.9% | 19.2% | 4.3% |
AI/IoTで快適 | 15.8% | 46.6% | 30.9% | 6.7% |
個性はないが機能的 | 8.9% | 41.3% | 38.5% | 11.3% |
人との交流ができる | 11.1% | 44% | 36.4% | 8.5% |
伝統・自然と快適さ | 20.2% | 53.8% | 20.6% | 5.4% |
昔ながらの生活 | 7.9% | 38.8% | 39.8% | 13.5% |

(国土交通省資料より作成)
また、未来の生活について質問した項目では、「感性や美意識を今以上に取り込みたい」とする回答が前年代で約8割に上りました。
これらのアンケート調査などから国土交通省は、生活空間に日本人ならではの感性(美意識)を取り込むには「伝統・文化」、「和」、「自然」を大切にする施策をより深めるとともに、新しい技術と一体になった取り組み(サイエンスとアートの融合)を行い、豊かな生活空間をつくることが重要と言及。
私たちが1日の多くの時間を過ごす住宅についても、リノベーションや新しい技術(AIなど)の活用を通じて、居住者の感性(美意識)がより反映される住空間の創出を目指すとしています。
将来住んでみたい街は?
さらに調査では、住宅のほかに、将来住んでみたい街についても質問を行っています。その結果は、「きめ細やかな配慮がある」「自然・歴史・伝統を感じる」に対して「とてもそう思う」「ややそう思う」と肯定的な回答が約8割でした。
未来の街に望むこと
とてもそう思う | ややそう思う | あまりそう思わない | 全くそう思わない | |
---|---|---|---|---|
自然・歴史・伝統を感じる | 24.1% | 53.6% | 18.2% | 4.1% |
きめ細やかな配慮がある | 28% | 53.9% | 14.7% | 3.4% |
文化的な個性はないが、交通面が便利 | 15.9% | 45.7% | 30.8% | 7.6% |
公園・広場などが身近に感じられる | 18% | 49.3% | 25.9% | 6.8% |
使う人の感性や目的によって、変化 | 16.2% | 49.8% | 27.6% | 6.4% |
機能的 | 14.1% | 49.1% | 29.4% | 7.4% |

(国土交通省資料より作成)
これを受けて国土交通省は、未来の街について、思いやりを感じられるきめ細かなまちづくりや、利用者の感性(美意識)に応じた多様な使い方ができる公園など、より愛着が感じられる公共空間をつくることが必要としています。