新築時に備えたい「電気自動車の充電設備」について

近年、温室効果ガス排出の削減に向けて「脱ガソリン車化」の流れが世界中で加速しています。日本でもこのたび、経済産業省が2030年代半ばに新車販売からガソリン車を廃止し、エネルギー効率のよい電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)といった電動車にする方向で調整していることが明らかになりました。
今はガソリン車を使用しているご家庭も、将来マイカーを乗り換える際に、EVやPHVを選ぶ可能性は高くなるでしょう。そこで、マイホームにおいてもEVやPHVを導入したときのことを考えておく必要があります。
家庭で充電できるEV・PHV
ガソリン車の給油は、ガソリンスタンドに出向かなければなりませんが、EVやPHVは家庭でも充電できます。といっても、EVやPHVの充電では10Aを超える電流が長時間流れるため、普通のコンセントでは過熱や発火を招くおそれがあり、EV・PHV充電用の専用回路と充電用コンセントを設置することが(一社)日本電気協会の「内線規程」によって定められています。
住宅を新築するときにあらかじめ充電設備を設置しておけば、完成後に追加工事をするよりコストを削減できます。
充電設備の種類について
EV・PHVの充電設備を大きく分けると「普通充電器」と「急速充電器」の2つがあり、家庭に設置するのは前者の普通充電器です。
普通充電器は、設置場所などによって、さらに複数のタイプに分けられます。建物と駐車場が近い場合は、建物の壁面に設置した充電器から充電する「壁面取り付け型」が便利。一方、建物と駐車場が離れている場合は「スタンド型」がおすすめです。
充電方法による違いもあります。シンプルな見た目の「コンセント型」は、充電器のコンセントに車載の充電ケーブルを接続して充電します。また、充電のたびに車載の充電ケーブルを取り出すのが面倒という場合は、充電器に充電ケーブルを装着した「充電ケーブル付き型」もあります。
これらの普通充電器には、使用する電圧が100Vと200Vのものがありますが、200Vのほうが対応するEV・PHVの車種が多く、また100Vより短時間で充電できる(※)ため、200Vの普通充電器を選ぶとよいでしょう。
※普通充電器の充電時間の目安(日産リーフの場合)
・100V…28時間でフル充電
・200V…8時間でフル充電
充電設備の設置場所について
充電作業を安全・スムーズに行えるように、駐車場まわりで雨水がかからず、夜間の照明が届く場所に充電設備を設置します。地上90~120㎝の高さにコンセントがあると充電ケーブルの抜き差しがしやすく、浸水防止にもなります。またEVやPHVの充電口の位置や充電ケーブルの長さも考慮しましょう。