安全で上り下りしやすい住宅の「階段」とは

2階以上の住宅に、なくてはならないものが「階段」です。毎日上り下りを繰り返すものだけに、見た目はもちろん、安全性や使いやすさを重視したいものですね。
そこで今回は、安全で快適な暮らしを支える階段のポイントについて紹介します。
主な階段の種類と特徴について
一般的な住宅に設置される階段は、主に次のようなものがあります。
直進階段
まっすぐ一直線に昇降する階段です。途中で方向転換が不要なので昇り降りしやすく、またシンプルな形状で面積が少なくて済むメリットがあります。一方で、もしも転落したときは一気に下まで落ちてしまう可能性があり、危険を軽減するために途中に踊り場(階段の間にある平らなスペース)を設けているタイプもあります。
かね折れ階段
途中に踊り場があり、そこで90度方向を変えて昇降します。踊り場の分だけ広い面積が必要ですが、途中で休憩ができ、万一の転落時も踊り場で止まるためケガの危険を軽減できます。
折り返し階段
途中に踊り場があり、そこでアルファベットの「U」のように180度方向を変えて昇降します。上の「かね折れ階段」よりも踊り場を広くとるため、余計に面積が必要ですが、途中で休憩ができ、万一の転落時も踊り場で止まるためケガの危険を軽減できます。
らせん階段
中心の柱のまわりを、らせん状に回りながら昇降するタイプ。デザインを重視したい場合や、狭い面積に設置したい場合などに採用されます。ただし昇り降りに不安を感じやすく、大型の家具が搬入できないこともあります。
昇降しやすい階段の勾配・寸法とは
階段の勾配や寸法によっても、上り下りのしやすさが変わってきます。
階段の1段分の高さを「蹴上げ(けあげ)」、足をのせる踏み板の奥行寸法を「踏み面(ふみづら)」といいます。建築基準法では、一般住宅の階段寸法を「蹴上げが23㎝以下、踏み面が15㎝以上」と規定していますが、この寸法だとかなりの急勾配となり、上り下りに不安を感じる人が多いようです。

ちなみに、バリアフリーに配慮した公共施設などの階段では「蹴上げが16㎝以下、踏み面が30㎝以上」とかなり緩やかな勾配となっています。階段の上り下りのしやすさは個人差が大きいのですが、自分や家族が安全に昇降できる階段はどれくらの寸法か、身近な階段でチェックしてみるのもよいでしょう。
階段の安全対策の徹底を
フロアとフロアをつなぐ階段では事故が発生しやすいため、特に小さい子どもやお年寄りのいる家庭では、階段の安全対策をきちんと行いたいものです。
つまずき、踏み外しなどによる転倒・落下事故を防ぐために、階段には手すりを設置しましょう。子どもが小さい場合は、子ども専用の手すりがあると安心です。
また、踏み面に滑り止めのステップやマットを設置することや、足元が暗くならないように、フットライトなどで十分な明るさを確保することも大切です。