家探しでよく聞く「買うなら年収5倍まで」、実際のところは?

住宅購入は大きな買い物だけに、失敗しない資金計画を立てたいもの。よく「購入できる価格の目安は年収5倍まで」などと言われますが、実際のところ、年収に対してどれくらいの予算を設定すればよいのでしょうか。
「年収5倍」が広まったのは30年前
家探しで「購入できる価格の目安は年収5倍まで」といわれるようになった始まりは1992年。当時の政府が発表した経済計画の中で「勤労者世帯の平均年収の5倍程度を目安に、住宅が取得できるようにする」という文言が盛り込まれ、これをもとに「年収5倍」が広まりました。
とはいえ、これは地価も金利も高く、大都市圏を中心に住宅取得が困難とされていた30年前の話。低金利が続く現在は、住宅購入の予算にも変化が見られます。
現在の住宅価格の目安は…?
住宅購入の予算は、新築or中古、戸建てorマンションなどによっても変わってきますが、ここでは2019年度「フラット35利用者調査」より、首都圏でフラット35を利用して土地付き注文住宅と建売住宅を購入した人の平均データを見ていきましょう。
土地付き注文住宅の購入者の平均条件(首都圏)
【購入者】
- ・年齢 38.3歳
- ・家族数 3.3人
- ・世帯年収 698.6万円
【住宅の購入価格(建設費+土地取得費)】
4,993,3万円(年収の約7.1倍)
【信金調達の内訳】
- ・頭金 499.0万円(10.0%)
- ・フラット35借入金 4,228,1万円(84.7%)
- ・その他の借入金(※)266,3万円(5.3%)
※公的機関、民間金融機関、親・知人など
【1か月あたり予定返済額】
13万8,600円
建売住宅の購入者の平均条件(首都圏)
【購入者】
- ・年齢 38.7歳
- ・家族数 3.1人
- ・世帯年収 597.7万円
【住宅の購入価格】
3,915.1万円(年収の約6.6倍)
【信金調達の内訳】
- ・頭金 325.1万円(8.3%)
- ・フラット35借入金 3,355,7万円(85.7%)
- ・その他の借入金(※)234.3万円(6.0%)
※公的機関、民間金融機関、親・知人など
【1か月あたり予定返済額】
10万9,200円
土地付き注文住宅では年収の約7.1倍、建売住宅では年収の約6.6倍が平均となっており、どちらも「年収5倍」を上回っています。現在はローンの金利が安いため、年収に対する物件購入価格も高くなる傾向にあります。
家探しの予算は人それぞれです
ただし、現在の購入価格の平均が年収の6~7倍だからといって「これくらいまでならOK」と判断するのも早計です。
なぜなら、家探しの予算は人それぞれ。親族からの援助金の有無など、頭金として用意できる金額は人によって異なりますし、ローンを組んで毎月返済できる額も、各家庭の状況によって変わってきます。「年収6~7倍」はあくまで参考程度と考えて、自分の手に届く金額の範囲で購入する物件を探しましょう。