ローン契約に必要な火災保険。その種類や内容は?

住宅ローンを組んで家を購入する際、必ず加入が求められる「火災保険」。その名のとおり家で火災が起きたときの損害を補償してくれるものですが、なぜ火災保険が必要なのか、どのような損害をカバーしているのか曖昧なまま加入してしまうケースも見られます。火災保険の概要を知り、マイホームに合う補償を把握した上で保険を契約しましょう。
なぜ火災保険が必要?
2019年中に発生した住宅火災件数(放火を除く)は1万58件(※)。この10年間で出火件数は減少傾向にあるとはいえ、実際に火災に遭った場合の被害は大きく、保険なしに立て直すことは難しいものです。
日本の法律では、近隣からのもらい火による火事であっても賠償請求をすることはできません。つまり、保険未加入だと火災で生じた損害額がすべて自己負担になってしまうのです。
また、近年は台風や洪水、大雪などの自然災害が多発しています。保険会社やプランによっては、このような自然災害による損害を補償してくれることもあるため、マイホームと暮らしの安心につながります。
※総務省消防庁「消防白書(令和2年版)」より
補償内容や対象は?
火災保険の補償内容については、ベーシックな範囲を補償する「住宅火災保険」のほかに、より広範囲を手厚く補償する「住宅総合保険」があり、次のような違いがあります。
住宅火災保険と住宅損害保険の補償範囲の比較
損害内容 | 住宅火災保険 | 住宅総合保険 |
---|---|---|
火災 | ○ | ○ |
落雷 | ○ | ○ |
ガス爆発などの破裂・爆発 | ○ | ○ |
風災・ひょう災・雪災 | ○ ※一部自己負担額がある場合も |
○ ※一部自己負担額がある場合も |
水災 | × | ○ ※一部自己負担額がある場合も |
車の飛び込み等による飛来・落下・衝突 | × | ○ |
給排水設備の事故等による水漏れ | × | ○ |
騒じょう等による暴行・破壊 | × | ○ |
盗難 | × | ○ |
(一般社団法人 日本損害保険協会HPより作成)
また、補償の対象を「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財の両方」の3タイプから選ぶことができます。このうち、住宅ローンの加入に必須なのは「建物のみ」となります。
いずれも保険会社やプランによって火災以外の補償や特約もまちまちですので、必要な補償内容を比較したいものです。
セットでつけたい!地震保険
火災保険では、地震そのものによる損害や、地震を原因とする火災や津波による損害は補償の対象外となっています。地震保険は単独で加入できず、火災保険とセットで契約することになるので、忘れずに加入しておきましょう。
保険料(掛金)や契約期間は?
保険会社や、加入するプランの補償範囲によって保険料はまちまちです。また、万一火災が起こった場合に支払われる保険金額には、建物全損時に新築で建て直せる金額が支払われる「再調達価額(新価)」と、経過年数により金額を差し引く「時価」の2つがありますが、後者で契約すると十分な補償を得られない可能性があるため、基本的に、前者の再調達価額(新価)での契約がおすすめです。
契約期間は1年契約から最長10年の契約が可能で、長期契約の一括払いのほうが保険料が割安になります。ただし、2022年10月からは火災保険制度が改正され、最長契約期間が10年から5年から短縮されます。